インビザラインコラム

第5回 インビザラインはこどもの矯正治療には使えない?

インビザラインの長所は透明で目立たないという特徴の他にもう1つ大きなメリットがあります。インビザラインは着脱が可能で、ワイヤーを用いた矯正治療と比較すると歯磨きが容易で口腔内衛生状態を良好に保ちやすいという点です。

歯磨きを上手にすることが難しいお子さまの場合、マウスピースによる治療はワイヤーの矯正と比べて虫歯になるリスクを下げられるため、矯正治療をするならインビザラインが良いとお考えになる親御さんが多いかもしれません。
そもそも、こどもの矯正治療は多少目立っても問題ないだろうとの考えは大人の勝手な理論で、こどもでもワイヤーが目立つのが嫌だという感覚はごく普通の感覚だと思います。

では、インビザラインでお子さまの治療を行うことは可能でしょうか?
歯を移動させることが可能かという点では、全く問題ありません。マウスピースで歯を移動させることに年齢は関係ありません。歯は年齢が小さいほど移動しやすいし、治療を早めに始めたほうが歯並びが安定しやすいため、むしろインビザラインでお子さまの矯正治療を行うことには大きなメリットがあると私は考えております。

ところが、実際にお子さまの矯正治療をインビザラインで対応した患者様はそれほど多くはありません。これには下記の様々な要因が関係しています。

  1. 治療途中で歯の生え替わりが進むと、マウスピースが歯並びに適合しなくなる
  2. 成長期の患者様の場合、治療期間中に顎の骨の成長があるがマウスピースは治療開始時の骨の大きさを基に製作するので正常な成長を妨げる可能性がある
  3. マウスピースは患者様自身が着脱するため、協力度の低いお子さまの場合には、予定通りに治療を進めることが難しい
  4. 成長ピーク前から矯正治療を始める患者様では通常、矯正治療は2回に分けて行うため、その場合にはインビザラインを2回発注する必要があり治療費が高くなる可能性がある

上記の要因を考えると、お子さまの歯並びの治療をインビザラインで対応するのは難しいのは確かです。矯正医は確実に歯並びを治すことに主眼をおいて治療方法を選択しますので、現時点ではこどもの矯正治療の場合にはインビザラインが第一選択でないと私も思っております。

昨年からインビザラインにはインビザライン・ファーストという乳歯と永久歯が混在している時期にも対応できる成長期のこども用の治療オプションが発表されました。現時点では選択肢の1つに過ぎないと私は考えておりますが、それではインビザライン・ファーストには治療上の利点が多くあることから、患者様の歯並びの状態次第では十分に治療に使用出来る治療法だと私は思っております。

インビザラインファースト

インビザラインは上記のインビザライン・ファースト以外にも永久歯がほぼ生え替わった小学生高学年くらいの時期から治療を開始するという選択肢もあり、治療時期を適切に選べばかなりの患者様が従来のワイヤーによる治療ではなく、取り外しが可能なインビザラインで治療を進めることができると思います。

矯正治療には様々な装置があり、それぞれに治療法と利点・欠点があります。我々矯正医は患者様の歯並びの状態を診断し、その情報から最適な治療方法を選択します。
治療方法を決定する段階では、一方的に我々矯正医の意見を突きつけるわけではなく、もちろん患者様の要望も考慮に加えつつ治療を進めていきます。

こどもの矯正治療は、成人の矯正治療と比較すると成長という不確定要素が存在するため、矯正医の間でも必ずしも判断や意見が一致するという訳ではありません。

治療を開始する前に、治療の説明を理解して納得できる治療法を提示してくれた医院で治療を受けるのが、満足度の高い治療結果を得るためには必要だと思います。

 

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院長 久保田 衛

  • 医療法人プライムオルソ 理事長
  • 日本矯正歯科学会 認定医
  • インビザライン公認クリニカルスピーカー
  • カンボジアプティサストラ大学臨床教授

医療法人プライムオルソ くぼた矯正歯科クリニック

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