矯正コラム
歯科矯正治療の費用ってどのくらい必要?
インビザラインに関するブログを書いていると、マウスピース矯正ではなくワイヤーを用いた矯正治療についての問い合わせをいただくことがあります。マルチブラケット治療(ワイヤーを用いた矯正治療の正式名称です)は百年以上の歴史がある治療で、関連した情報なんていくらでもあると思いきや、意外にブラケット治療に関する情報もマウスピース矯正と同様に一般の方々には知られていないようなので記事を書くことにしました。
いざブラケット治療に関することを書こうとすると、最初に何からから書けば良いものか迷います。このブログは矯正治療を検討されている一般の方々が対象にしたいと思っていますので治療の難しいことを最初から書くのもどうかとも思います。ということで初回は下世話かもしれませんが、マルチブラケット治療に際して必要になる費用から書いてみようと思います。マウスピース矯正の費用については以前にインビザラインコラムに記載しておりますので、興味がある方はそちらもご覧ください(https://kubota5888.com/column/5638/)。
矯正相談:初歩的なステップと費用
矯正治療を始めるにあたり、何も考えずになんとなく目についた歯医者に予約を取り、いきなり来院初日に矯正治療を始めるということはまずありえなくて、大抵の場合、矯正治療に関する相談を受けることになると思います。矯正治療は基本的に自費診療なので料金は各医院によって異なります。矯正相談については費用が掛からない医院もあれば費用が必要な場合もあります。費用が必要な場合は3千円から5千円程度が相場だと思いますが、医院によっては1万円前後必要なところも存在します。矯正相談を受ける場合には事前に医院ホームページや電話等で費用を確認される方が良いと思います。自費診療には消費税が別途必要になり、今回のブログでは税別で統一して記載致します。実際に医院を受診すると消費税が必要になりますのでご注意ください。
精密検査と診断の費用
矯正相談を受けて矯正治療を始めることが決まると、精密検査を受けることになります。検査内容は医院によって多少の差があるので料金も医院間で差があります。検査を行うと歯科医師が検査結果を分析し治療方針を立案します。検査結果の説明と立案した治療方針を説明する過程をあわせて診断と言います。精密検査と診断の費用を別々に請求するのが一般的ですが、両方まとめて料金を設定している場合もあります。矯正歯科クリニックだと精密検査と診断を合わせて3万円から7万円程度が一般的な設定だと思います。
診断を経て治療方針が確定して初めて矯正治療を開始することになります。矯正治療では小臼歯抜歯や親知らずに抜歯が事前に必要になることがありますが、そちらの料金は通常は矯正治療とは別個に必要になります。一般歯科クリニックの場合には自院で対応しますが、矯正歯科クリニックでは矯正以外の処置を行わない医院がほとんどですので、抜歯が必要な際には紹介になります。その分の費用は紹介先の医院で別途必要になることをご留意ください。
基本施術料と治療開始
さて、矯正治療が始まると大きく分けて基本施術料と調整料という2つの費用が必要になります。基本施術料は技術料や材料費等の治療に関する様々なセットアップに必要な費用で、矯正治療費の本体と言える部分で金額も高額です。治療を開始する初日に請求されるか開始前に請求される場合もあり、料金は医院間でかなり大きな差があります。50万円くらいからで高い医院だと100万円を超える医院も珍しくありません。表側のブラケット治療では100万円程度が高額の部類だと思いますが、舌側矯正(リンガル矯正、裏側矯正)では100万円以上かかるのが普通で150万円以上する場合もあります。使用する装置によって料金が異なっていたり治療に使用する装置ごとに追加の料金が設定されていることが多いのでご自身の治療では基本施術料に何が含まれているかを知っておいた方が良いと思います。
なお相場からかけ離れた低額で基本施術料が設定されている場合もあるのですが、後述する調整料が高額に設定されていて実は全然安くなかったなんて話を耳にすることもあります。矯正治療の料金は総額でどのくらいになるのかを必ず事前に確認される方が無難です。
調整料:継続的な治療コスト
次に必要な費用として調整料があります。ブラケット治療では通常月に1回通院することになりますが、その時に毎回かかる費用が調整料です。調整料も医院により差がありますが5千円から1万円程度が普通です。舌側矯正の場合、毎回の処置に時間がかかるので調整料も表側の治療よりも高く1万5千円くらいかかる場合もあります。医院によっては処置内容によって調整料が変わる場合もあります。矯正治療は年単位の治療期間が必要で、治療期間を通して20~30回程度の通院が必要なことを考慮すると10~30万円程度は調整料が必要になります。ホームページの費用のページでは調整料について詳細に記載されていない場合もあります。お金のことを医院で細かく聞くのは気が引けるかもしれませんが、トラブルを避けるためにも矯正相談では治療に関することだけでなく気になることをすべて確認するようにしてください。
保定管理とその費用
矯正治療が終了すると保定管理が必要になり、毎回の通院時に料金が必要です。まず保定装置といって矯正治療後の歯並びを維持するための装置代が必要になります。保定装置代は基本施術料に含まれている場合とそうでない場合があります。使っている装置によって料金は異なりますし、耐用期間にも差があります。長期間が同じもの使えると良いのですが基本的には保定装置は消耗品なので作り直しも必要です。その場合の料金も留意される必要があります。
保定期間中、口腔内の状態を確認するために通常は年に数回通院することになり、このときに観察料がかかります。料金は数千円程度が一般的で、この金額が高額なことは稀だと思います。どのくらい保定期間として通院するかは先生によって判断が異なります。教科書的な話をするなら半永久的に通院するのが良いとされているのですが、現実的な話では3年とか5年くらいで終了になるのが一般的です。観察料は合計しても数万円程度かと思います。
上記の金額を合計すると矯正治療は最低でも60~70万円程度は必要になり、ここに消費税がかかるので最低で70万円近い支払いになるのが普通です。もちろん例外的に低額で治療している矯正歯科クリニックがあったり、一般歯科クリニックだと上記より低額なことが多いです。あくまでこのブログは目安として書いていますのでこの金額から外れているから怪しいとかそういうことにはならないことをご理解頂けると幸いです。
総額制料金とそのメリット
なお最近では矯正治療の費用の不透明さを払拭するために料金を総額制にする医院が増えています。従来の料金体系だと治療が長くなればなるほど費用がかさむことになり、想定していた金額よりも高額になり治療費を支払うのが苦しくなる等のトラブルになることがあります。想定していた治療期間より治療が長引かないように頑張ってはいるものの、しっかりと治療するには治療期間よりも思いのほか長くかかる場合もあります。そのような場合に料金トラブルにならないよう、治療前に矯正の費用は合計でこの金額ですということを明示し、治療が長くなったり想定外の装置を使用することになっても一切追加の費用が発生しないのが総額制の料金体系です。医院側のメリットとしては治療期間を気にせずにしっかりと歯並びを治し終えるまで治療を継続しやすいことが挙げられ、患者側のメリットは想定外の出費を抑えることができます。
矯正治療費用のまとめ
矯正治療はいずれにしても高額ですし、トラブルはできるだけ避けたいところです。治療費が高い医院にはそれなりの理由があり、十分な人材を確保していたり非常に高額な装置を使用している場合もあります。逆に料金設定が低い場合には何らかの理由があるのかもしれません。目先の費用の高低だけでなく治療を受ける医院の対応に納得できるかを治療前に把握するべきですので、矯正治療をご検討の際には費用だけでなく治療に関する詳細をしっかり確認されることをお勧めします。
- 次へ
- 前へ
- 一覧に戻る