インビザラインコラム
第2回 マウスピース矯正(インビザライン)で歯はどうやって動くの?
“歯並びは気になっていて治したいけれども、矯正装置が目立つのが嫌だ!”
矯正治療を始めたいけれども踏み出せないのは、歯にワイヤーをつけて何年も過ごすのが嫌だから、そうおっしゃる方がけっこういらっしゃいます。
矯正相談にお越しになられた患者様のなかに、できるだけ目立たずに歯並びを治したいけれどもインビザラインで治療するのもやっぱりためらうという方がけっこういらっしゃいます。もちろん治療に踏み切れないのにはいろいろな理由があると思うのですが、そういう人にためらう理由を聞いてみると、インビザラインでどうやって歯が動くのか分からないから不安だと言われることがあります。
たしかに、ワイヤーをレールにしてバネやゴムで歯を動かす従来の矯正治療の詳細は分からないにしても、歯に力を加えて移動させているというイメージはしやすいと思います。それに比べるとインビザラインは、歯にマウスピースを装着しているだけでどのように力が加わっているか分からないので、なぜ歯が動くのか理解しにくいと思います。
では、どうしてマウスピースを入れると歯が動くのでしょうか?
まず大前提として、インビザラインで治療中に用いるマウスピースは1個ではありません。たまに同じマウスピースをずっと治療期間中使用するのかと聞かれることがありますが、マウスピースは通常1週間~10日に1回のペースで新しいものに交換しながら治療を進めてまいります。最初の歯並びの状態によって個人差はありますが、通常は40〜60組程度のマウスピースを治療の第1段階として用いることが多いです。
インビザライン治療では、上述した数十組のマウスピースを使用して歯並びを整えていきます。マウスピースは少しずつ形が違っていて、治療初期に使用するマウスピースは治療前の患者様の歯並びとほとんど同じ形態をしており、そこから治療が進むに従い使用するマウスピースの形態が少しずつ変化して歯並びが整った形態のマウスピースになっていきます。
患者様が新しいマウスピースを装着すると、マウスピースと患者様の歯並びには僅かなズレがあるように設計されているため、ズレている部分の歯はマウスピースの弾力で押されることになります。この弾力から発生する力で歯が押され、少しずつマウスピースにぴったり適合するように歯が移動して行きます。
通常は約1週間程度マウスピースを使用すると、歯並びがマウスピースとほぼ一致する状態まで移動します。この状態になるとマウスピースから押される力が発生しないため、これ以上歯は移動しません。歯並びの状態がマウスピースと一致した段階で、使用していたマウスピースは役割を終えることになります。
この過程を繰り返すことで、歯が少しずつ移動して最終的に予定している位置に歯が移動した段階で矯正治療が終了します。
歯の移動はマウスピースの弾力で発生する力で進んでいくため、マウスピースを使用しないことには移動が進まないのはもちろんですが、所定の期間を過ぎて同じマウスピースを使い続けても歯の移動は進んでいきません。
矯正医から指示された計画通りにマウスピースを使用して頂くことで、予定通りの歯の移動を達成することができます。