インビザラインコラム
第1回 マウスピース矯正(インビザライン)ってどんな治療?
インビザライン治療では、患者様自身で着脱が可能なマウスピースを用いて歯を移動させていきます。マウスピースは透明に近い半透明な素材で、弾力があるプラスチックに近い素材です。
半透明なのでマウスピースを装着すると歯の色とズレが出て目立つのではと思われるかもしれませんが、実際に装着するとマウスピースを通して歯の色が透けて見えるため外見上はほとんど分かりません。以前、私自身もインビザラインで矯正治療を行ったのですが、私の歯科医師の友人もほとんどの人がマウスピースを装着していることに気がつきませんでした。自分からマウスピースを装着していることを好評しなければ、多分、ほとんど他人に気づかれずに治療を行うことができると思います。
弾力は、軽く力をいれてマウスピースを押すと変形する程度の弾力です。変形が起こることが重要で、変形した状態で装着されたマウスピースが元の形に戻る力を利用して歯を移動させます。
相談に来られた患者様は、マウスピースは堅い素材で作られているとのイメージを持っている方が多いですが、マウスピースは意外と柔らかい素材でできていています。
ちなみに、強めの力で変形させると永久変形が起こり元の形に戻らなくなりますが、永久変形させるにはある程度の力が必要ですので、通常の着脱程度の外力でマウスピースの変形が起こるのは稀です。ですから丁寧に扱って頂いたほうがもちろん良いのですが、普段の取り扱いに神経質になる必要はありません。
マウスピースの厚みは0.5mm程度あります。患者様が上下顎にマウスピースを装着した状態で咬合すると約1mm程度の板を奥歯で咬んでいるような状態になります。人の咬み合わせの感覚は非常に敏感なので、1mmもの厚さの板を咬むとそれなりの違和感があります。また実際のインビザライン治療では歯の表面にアタッチメントと呼ばれる歯と同じ色の小さな突起物を歯の表面に接着します。マウスピースにはその突起と適合するくぼみが存在します。マウスピースの内側から見るとマウスピースの一部がくぼんでいて、表面側からみると軽く出っ張った状態になります。マウスピースの表面になだらかな凸凹が存在することになるため、マウスピースを装着した際に凸凹を気にされる患者様もいらっしゃいます。ただ、違和感を従来のマルチブラケット治療と比べると比較にならないほど小さく外見上もそれほど目立ちません。マウスピースを装着したことで発生する違和感で治療を進められないケースはほとんどないのではないかと思います。マウスピースを装着した直後は舌がもつれるような感触がある方がいらっしゃいます。私自身もそのような感覚があり、特に“さしすせそ”の音が発音しにくいと感じました。この感覚には個人差がありますが少しずつ軽減してゆきます。慣れるまではゆっくりしゃべって頂く等のご配慮は必要になるかもしれないです。
ちなみにインビザラインで使用するマウスピースのことを「アライナー」と呼びます。インビザラインで治療しているドクターは通常「アライナー」という言葉を使用しているので、患者様にもその言葉を使って説明されるかもしれません。その場合には、「アライナー」はマウスピースのことだとご理解ください。
医院に歯並びの相談にお越しになられた患者様で、なぜマウスピースで歯並びが治るか分からないとおっしゃる方がおられます。
次回、第2回ではインビザライン治療で歯が動くメカニズムについてお話いたします。