インビザラインコラム

第22回 各矯正方法と比較するとインビザラインこんな人におすすめ

 

 

歯並びの治療をしたいと考えたときに、皆さんはまずはどういう行動をとりますか?

いきなり近所の歯医者さんに予約して矯正のことを聞きに行かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、矯正歯科はそれほど多くないためたまたま近くにあった医院で矯正治療に対する様々な選択肢を提示してもらったうえで治療を始められる可能性は高くないかもしれません。治療についての情報収集を行い、自分にあった医院を探し、理想的な治療方法で歯並びの問題を解決するのが良いと思います。

 

代表的な矯正方法

 

ところでインビザラインに適した人とはどんな状態の方でしょうか?

今回のブログでは、代表的な矯正治療と比較しながらインビザラインがピッタリとはこういう方だという私なりの意見を書きたいと思います。
さて、この顎間ゴムは矯正治療全般で用いられるものなので決して珍しい類のものではなく、歯の矯正をされた方なら使った覚えがあるという方は多いと思います。

まずは代表的な矯正治療をいくつか挙げてみます。

  • 表側ワイヤー矯正治療(マルチブラケット治療)
  • 舌側ワイヤー矯正治療(リンガル治療)
  • マウスピース矯正治療(インビザライン)
  • 床矯正治療

    上記4つの治療法の中にも実際にはそれぞれ細かくいろんな違いがあるのでひとまとめで説明するにはやや無理があります。床矯正治療についても、本来の成人矯正のコンセプトから少しずれた感もあるのですが、当院に矯正相談に来院された方からインビザラインとの違い(全然違いますけどね・・)を聞かれることがあるので今回の比較対象に含めることにしました。今回はあえてそれぞれの装置について一般論で比較いたします。

    矯正治療で例を挙げるなら、小臼歯を抜歯した隙間を用いて前歯の出っ歯を治す際に前歯を内側に移動させるときに必ず奥歯は前歯に引っ張られて前の方に移動してきます。出っ歯の治療で奥歯が前方に動いてしまうと前歯を内側に移動するスペースが小さくなってしまい出っ歯を治すには都合が悪いです。このような望ましくない移動を予防する目的で顎間ゴムを使用します。

     

     矯正方法ごとの特徴

     

    それぞれの特徴の説明と、比較については適応症、審美性、装着時の違和感、治療期間、適応年齢、痛み、費用、来院頻度等について行います。

    1. マルチブラケット治療

      通常は矯正治療といえば最初に思い浮かべるのがこの治療法です。
      歯の表側にブラケットと呼ばれるボタンのような装置を接着し、そこにワイヤーを通して治療を進めていきます。接着するブラケットには様々な材料のものがあり、金属やプラスチックが一般的ですが最近では歯の色に近いセラミックでできたブラケットを使用する医院も多いです。歯の表面に接着した装置はいずれの材料でも見えなくはない状態で、どちらかといえば目立つため審美性は悪いです。歯の表面についた装置とワイヤーは違和感が大きく装着感も良くありませんし、歯の移動時の痛みは痛い方の範疇に入ります。様々なデメリットがあるのですが、矯正医が最も安定して治療しやすい装置ではあります。

      矯正装置の代表選手といって間違いない装置だけに適応症例は広く、どのような不正咬合の状態にも使用できるオールラウンダー的な装置です。
      子供の第1期治療(成長期の治療)にも使用できますし、もちろん成人の矯正治療にも使用するので年齢を選ばない装置ですが、口腔衛生の観点からはできれば歯磨きが上手くないお子さんには使用を避けたいところです。

      治療期間は患者様の状態によって異なりますが、上記の代表的な矯正治療法間での比較という意味では最も治療期間は短いと私は思います。
      治療には専門性の高い技術が必要ですので費用は安くはありませんが、材料費がそれほどかからないこともあり舌側矯正やインビザラインに比べると安価である場合が多いです。通常は月1回間隔の受診で治療を進めます。

    2. リンガル治療

      舌側矯正治療は、歯の裏側にブラケットを接着し、そこにワイヤーを通して治療を進めていきます。この治療は歯の裏側に装置を接着するので上下ともリンガル治療で対応すると矯正装置はほとんど見えません。ただ、下顎については歯の裏側に装置を接着すると違和感が非常に強いので上顎のみ舌側で対応するハーフリンガルという方法もあります。また完全にすべての治療をリンガル矯正で行う訳ではなく奥歯の目立たない歯には表側にブラケットを装着して表と裏側をコンビネーションで行う場合もあります。通常は目立つ部位には装置はできるだけ接着しないので審美性は非常に良いです。

      快適さよりも審美性を追求した装置なので、違和感は比較する4つの治療法の中で最も違和感が大きく、歯が移動する際の痛みのほかにブラケットが舌に当たる痛みが発生することもあり、患者さんにとって大変な治療だと思います。

      ワイヤーで行う治療なので、対応できる不正咬合の状態は表側のマルチブラケット治療と同様に広く用いることが可能ですが、難易度が高いためどこの医院でも対応できるという治療法ではありません、医院選びには吟味が必要です。

      この装置は歯磨きは難しいし違和感も大きいため、通常は子供の治療で使用するのは稀だと思います。一般的には成人矯正で用いる装置です。

      治療期間は熟練度の高い矯正医の場合には表側矯正と比較して大きな差はないと言われて言いますが、通常は表側のマルチブラケット治療よりは期間が長くなりがちです。

      費用については今回比較する装置の中では最もリンガル矯正が高額だと思います。月1回の診療時に調整料が別途必要な医院が多く、治療前に総額でどのくらいの金額になるかは確認された方が良いと思います。

    3. インビザライン

      マウスピースを用いたアライナー矯正の代表がインビザラインです。インビザラインは歯並びのデータをPCに取り込み、PCで立体的な治療計画を作成し、そのデータを基にマウスピースを製作して治療を行います。製作したマウスピースは透明に近い素材でできているためマウスピースを装着しても一見装置が入っているようには見えません。よく見ると歯の表面に設定したアタッチメントが見えていたり、マウスピース表面の反射で歯の表面に何かがついているように見えることもあります。最近では、芸能人がアライナーを装着したままテレビに出ていることをSNSに載せられてしまうなんてことがしばしばみられ、要するにインビザラインは全く見えない治療ではないということになります。ただしタレントさんが装置を付けたままテレビに出演されるわけだから目立つということではありません。むしとほとんど目立たない装置です。

      マウスピースを装着した際の違和感は、ブラケットを装着した際と比較すると圧倒的に小さいです。歯が移動する際の痛みもごく軽度です。そういう点では日常生活に大きな影響なく治療を進めることが可能です。

      対応できる不正咬合については、ワイヤーを用いた治療と比較するとやや対応が難しい場合があります。例えば前歯の咬み合わせが深い状態の治療は苦労することが多いですし、保険のルール上外科矯正には使用することができません。以前は小臼歯抜歯の治療でもインビザラインではかなり難しいと言われていました。飛躍的にマウスピース自体の性能が進歩しており、多くの症例から得られたノウハウが蓄積した結果、最近では小臼歯抜歯の症例を対応できる医院も増えています。私の医院でも日常的に抜歯をともなう患者様の矯正治療を行っております。抜歯を伴う治療が難しいことは変わらないので、抜歯が必要だと診断された場合には治療方針の詳細をしっかり確認されることをお勧めいたします。

      インビザラインにはインビザライン・ファーストというこどもの第1期治療用のオプションが用意されています。以前インビザラインは大人の矯正に限局された装置だったのですが、現在では年齢を問わずどの年代の患者様にも使用することができます。

      インビザラインは材料代が非常に高額ですので、患者様が負担される治療費も高額です。リンガル治療と比較するとインビザラインの方がやや低額ですが、医院によってはマウスピース代や診察料が別途必要な場合がります。

      追加アライナーの期間も含めるとワイヤー矯正よりも治療期間は長いです。なるべく治療を短期間で終えたい方には向いていません。ただし、来院頻度ではワワイヤー矯正に比べて大きなメリットがあります。インビザラインは通常7日おきにマウスピースを交換して治療を進めていきますが毎週医院を受診する必要はなく、通常は13カ月に1回の受診で十分です。忙しい方にはわざわざ医院まで足を運ばなくても治療が進んでいくという点は非常に魅力的だと思います。また、インビザラインでは治療が順調に進んでいる方であればオンラインの診療システムを利用して定期的な来院を減らすことも可能です。インビザラインは歯科領域の中では最もDXが進んだ治療と言われており、今後もより確実に、より快適に治療を進められるようになることが予想されています。

    4. 床矯正治療

      4つの代表的な矯正治療の中では床矯正治療だけは少しタイプが違った治療で、本来は上記の治療法と比較する対象としては適切でないと思います。
      ただ、矯正治療を希望して来院される患者様の中で特に小児の患者様の親御様から床矯正とアライナー矯正の違いを理解されていない場合があるので、あえて比較に加えることに致しました。

       床矯正は歯の表面になにも接着する必要がないため審美性は悪くないですが、装置を安定させるためのクラスプ(ワイヤー)が見えるので装置は比較的目につきやすいと思います。

      イメージとしては入れ歯に近いので、違和感はかなり強いです。歯列の拡大を行いながら治療を進めることが多く、歯列拡大が進むにつれてスクリューを回すたびに強い痛みがあります。

      歯の移動は自由度が低く、一定方向にしか歯の移動は行えません。ですから矯正医は通常この装置だけですべの治療を完結する予定で使用することはありません。あくまで本格的な矯正治療を開始する前段階の装置です。

      床装置は通常、成人には使用せず永久歯列になる前の段階で使用します。適応年齢はインビザライン・ファーストと同じくらいの時期と考えて頂いて問題ないと思います。

      床矯正は必要最小限の移動を行うための装置なので、使用期間は短期間で使用します。費用も上記3つの治療法と比較すると格段に低額です。ですが、通常はこの治療の後に別の装置を用いた矯正治療が必要になることがほとんどなので矯正治療費の総額が安いわけではない場合があります。

      この装置は月1回程度の診療で治療を進めていきますが、比較的装置が壊れたり急患対応が必要になることが多い装置です。

       

       

      表で見る矯正方法ごとの特徴

       

       表側矯正舌側矯正インビザライン床矯正
      審美性装置が目立つ装置は見えない半透明で目立たないややクラスプが目立つ
      適応症ほぼすべての症例に適応ほぼすべての症例に適応一部適応できない限られた症例のみ
      痛み強い強い弱いやや強い場合あり
      違和感強い非常に強い弱い強い
      適応年齢ほぼすべての年代中学生以上ほぼすべての年代子どもの矯正のみ
      治療期間3つの中で最短マルチブラケットとほぼ同等かやや長い長い短い
      費用インビザラインより安価最も高額舌側矯正より安価安価
      来院頻度月1回月1回2~3カ月に1回月1回
      急患対応ありありなし割と多い
      日常生活への影響食べ物が装置に引っかかる食べ物が装置に引っかかる、発音障害わずかに発音障害あり発音障害強め

     

    まとめ

    上記からインビザラインに向いている人を私なりにプロファイルすると次のような人ということになります。

    すごい出っ歯とか受け口ではなく、歯並びを治す際にできるだけ歯を抜きたくないと考えていて、まじめに決められたことを続けることにあまり抵抗がなく2~3年くらいかけて歯並びを治せればよいと考えている13歳以上の方。

     

    なかなかアバウトなプロファイリングですね。ですが、実際にはインビザラインは極端な骨格的な問題がない方であれば大抵は対応することが可能です。

    上記の表を参考にしてご自身にあった治療法を見つけて頂けると幸いです。

     

    院長 久保田 衛

    • 医療法人プライムオルソ 理事長
    • 日本矯正歯科学会 認定医
    • インビザライン公認クリニカルスピーカー
    • カンボジアプティサストラ大学臨床教授

    医療法人プライムオルソ くぼた矯正歯科クリニック

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