インビザラインコラム

第20回 インビザライン治療をサポートするIT技術

インビザライン治療は従来の矯正治療にIT技術を融合した治療で、歯科領域ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を代表する治療といっても過言はない治療ツールです。

これまでのブログでも様々なメリットを書いてきましたが、インビザライン治療では治療前の患者様の歯並びの状態をスキャナーでPCに取り込み、取り込んだデータを基に矯正治療のゴールをデジタルセットアップし、3Dプリンターを用いた技術を駆使して製作したマウスピースを用いて歯の移動を行います。従来の矯正治療とは異なり、治療開始前の準備段階はほぼPCのみで完結することができるため、私が大学院時代に矯正科で学んだ治療予測模型を作る作業とかレントゲン写真をトレースするとか、そういうアナログな作業は殆ど行わなくなりました。そもそもワイヤーを曲げるというもっとも職人的なアナログな作業をインビザライン治療では全く行う必要がありません。

 

実際に歯を移動させる矯正治療が始まると、インビザライン治療も従来の矯正治療とそう変わりはなくアナログだったりします。基本的にマウスピースを定期的(約1週間おき)に交換し、マウスピースのひずみから発生する力で歯を移動させていきます。マウスピースの着脱はもちろん患者さんご自身に行っていただくので、その分は超アナログです。インビザラインでは顎間ゴム(ゴム掛け)が多くの患者様の治療で必要になり、顎間ゴムの着脱もご自身でやっていただきます。口の中に指を突っ込んで行うこの作業もデジタルとはほど遠いです。治療を受けている患者さんはインビザ治療のことはデジタル技術を駆使した診療だと思っていないかもしれませんね。

 

すべてがDXとは行きませんが、治療が始まるとすべてアナログかというとそういう訳ではありません。治療の途中経過はデジタルセットアップした治療計画と比較して治療の進行過程を毎回の診療では確認します。確実に治療を進めるには治療経過を正確に把握することが欠かせませんし、治療計画からのズレを認識できるのは術者としては非常にありがたいことです。

ここ2年のコロナ禍で医院に通院しなくても治療を進められるような技術も急速に進んでいますし、インビザライン診療をより確実に進めるための様々なIT技術の開発が急速に進んできています。

 

当院でも、インビザラインに関係した新しいツールを積極的に使用しています。当院のYouTubeチェンネルの動画( https://www.youtube.com/watch?v=44FhaoC-Wh8 )でそれらの機器をとりあげていますので、このコラムでは補足説明を行いたいと思います。

 

まず動画で最初に紹介されているのがPBMという装置です。これは加速矯正装置と呼ばれる類の装置で、遠赤外線を歯の根元の歯茎に照射することで歯槽骨内様々な細胞を活性化し歯の移動速度を大きくします。通常インビザライン治療ではマウスピースを1週間おきに交換します。このペースで交換すると1年間で52組分マウスピースを進めることになります。PBM用いて毎日歯茎に遠赤外線を照射すると、通常1週間掛けて行う移動を3〜5日で完了することが可能です。PBMなどの装置を使用した際の効果には個人差がありますが、仮に4日で移動が完了するのであれば1年で91組分の移動が可能で、その分、治療期間を大幅に短縮することが可能です。

 

PBMによる治療期間比較

 

加速矯正装置から照射される遠赤外線には歯の移動速度を早めるという作用の他にもう一つ大きなメリットがあります。矯正治療で歯が移動する際に、通常若干の痛みを伴います。ワイヤーによる矯正治療では非常に痛みが強く、マウスピース矯正はそれと比べると格段に痛みは軽いですが、それでも痛みを感じることはあります。

PBMを用いると痛みを抑制する作用があり、痛み減らしながら矯正治療を進めることが可能です。もともとインビザラインは歯の痛みが軽い治療方法なので痛みの軽減を主な目的にするというよりは、基本的に治療期間の短縮することを目的に使用することがほとんどですが、できるだけ痛みを抑制したいという方にもオススメできる装置です。

 

次にYouTube動画内で紹介されているのがデンタルモニタリングです。

デンタルモニタリングは、治療経過を定期的にモニタリング(治療経過の確認)するためのIT技術です。

通常、インビザライン診療ではマウスピースを1週間おきに交換することで歯を移動させて行きます。毎週の歯の移動を確認するためには医院に毎週きていただくことになりますが、1年から数年に渡る治療のあいだ毎週通院していただくのは現実的ではありません。医院によって差はありますが1ヶ月から数ヶ月間隔で医院にモニタリングに通院していただくのが一般的です。

毎回マウスピースをしっかり指示通りに使用していただき、治療計画からズレることなく歯の移動が進行していることを前提にマウスピースを数組使用してからモニタリングにお越しいただくようモニタリングの間隔を設定していますが、マウスピースを数組使用している間に歯の移動が計画からずれてしまうというトラブルがしばしば発生します。

デンタルモニタリング

毎回マウスピース使用したあとの状態を確認することができれば、トラブルを早期発見でき問題が複雑になることを避けられますし、わずかなズレであればマウスピースの使用日数を伸ばすことでマウスピースと歯の不適合を解消することも可能です。デンタルモニタリングは、マウスピースを所定の期間使用した後に自宅で歯並びの状態を写真撮影し、その画像を基にAIとドクターがダブルチェックで歯の移動を確認するシステムです。

歯をスマートフォンで撮影するための補助装置も比較的使用しやすく、撮影した画像はスマホに入れたアプリから送信するだけなので患者さんには大きな負担はありません。送られてきた画像から歯の移動を確認するのはひと手間必要ですが、それでもトラブルが大きくなってから対処するのと未然にトラブルを防げるのとでは大きな差があります。仙台市の矯正歯科専門医院・くぼた矯正歯科クリニックでは治療計画である程度以上のマウスピース数が必要な患者さんにはデンタルモニタリングの使用を勧めており、毎回送られてくる画像から歯の移動に問題がないことが明らかな場合には来院間隔を長くして来院回数を減らすことも行っております。

 

今後は、マウスピース矯正に関わる様々な技術が開発され、より的確に、そしてより快適に治療を進めることができるようになることが予想されます。当院では海外の最新の情報も含めて常に最新の情報を収集しておりますので、また新しい技術を導入する際には、YouTubeチャンネルやこのコラムで紹介したいと思います。

 

デンタルモニタリングの撮影の様子は動画内( https://www.youtube.com/watch?v=44FhaoC-Wh8 )で見ていただくことが可能です、よろしければ御覧ください!

 無料の初診矯正相談も行なっておりますので、ご予約はこちらからどうぞ!

 

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院長 久保田 衛

  • 医療法人プライムオルソ 理事長
  • 日本矯正歯科学会 認定医
  • インビザライン公認クリニカルスピーカー
  • カンボジアプティサストラ大学臨床教授

医療法人プライムオルソ くぼた矯正歯科クリニック

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