インビザラインコラム

第19回 インビザラインでオンライン診療は可能ですか?

コロナ禍が一向に収まりを見せない中、医院まで足を運ばなくても診療を受けることができるオンライン診療が医科領域では注目されるようになってきました。オンライン診療自体は今回のコロナウイルスのパンデミック前から厚労省から指針が示されていましたが、オンライン診療をおこなっている医院は実際には皆無でした。

症状を確認し診断結果に応じて内服薬を処方するという診断を中心にした内科的な医療は、患者様の状態を正確に把握できれば対面の診療でなくても十分に精度の高い診療を行うことが可能です。昨年からのコロナウイルス感染の広がりに伴い、コロナウイルス感染患者様の在宅診療を支えるだけでなく、コロナ以外の疾患の患者様の感染リスクを避けて遅滞することなく診療できるという観点からもオンライン診療の普及が急速に進んでおります。

 

歯科領域においては、そもそも一般歯科診療は口腔内で何かしらの処置を行うことが中心の医療なので、オンラインで行える処置がほとんど存在せず、インターネットを介した診療については議論の機会さえもなかったのではないかと思います。患者様には現在のパンデミック下においても歯科医院まで通院し治療を受けて頂くしかありません。

歯科診療の中では、唯一マウスピース矯正だけは一般診療とは異なりオンラインにて対応できることが含まれる治療で、パンデミック前からオンラインでインビザライン診療を補助する様々なシステムが存在します。当院においてもオンライン診療に取り組んでおりますので、今回はマウスピース矯正におけるオンラインでの関わり方について、診療の流れにそって説明致します。

 

【 矯正治療の前準備 】

1.精密検査:来院して受診

矯正治療では、治療方針を決定するにあたり先ず歯並びの状態について様々な検査を行います。初診時の検査では歯並びの型採りやレントゲン写真撮影など医院に来なければ不可能なことが多く、現時点ではこの過程をオンラインにするのは難しいと思います。当院でも口腔内の検査は来院して頂き対応しております。

 

2.検査結果に基づく最終的な治療方針のご相談:オンライン可能

検査後その情報を元に治療方針を決定し、通常は別日に来院して頂き、治療に関する詳細を患者様に説明しております。基本的にこの過程も対面で説明致しますが、当院ではご希望の方にはZoomによるオンラインにて説明を行っております。オンライン対応も通常の診療時間内としておりますので、時間的な制約はあるものの県外など遠方から来院される方や通院にかかる時間を節約したい方には喜んで頂いております。

 

3.口腔内スキャン:来院して受診

治療方針について合意して頂くと、次の過程としてインビザラインでの治療計画を作成するために口腔内のスキャンを行います。残念ながら現時点ではこの過程も医院にお越し頂く必要があります。

 

4.インビザライン治療計画の説明:オンライン可能

スキャン後、そのデータを利用して矯正治療の3次元的な治療ゴールおよび歯の詳細な移動様式などを決定します。移動様式はソフトウェア上で視覚的に理解しやすくなっており、当院では再度ご来院頂いた上で、スキャンとは別日にインビザラインの治療計画を説明致します。この過程はPCを用いた説明なのでZoomでのオンラインで対応することが可能です。

 

上記の通り、当院では精密検査からインビザラインでの治療方針の説明まで通常は合計4回来院した上で治療開始の準備が整うのですが、オンライン診療をご希望の場合には来院回数を半分の2回にすることが可能です。

 

【 インビザラインでの歯の動的治療開始 】

インビザラインの治療は、完成した数十組のマウスピースを治療計画に沿って定期的に交換しながら進めて行きます。マウスピースは最初にその数十組すべてが製作され、当院では治療スタート時に、完成したマウスピースをいったん全部患者様にお渡ししております。

マウスピースを受け取ってしまえばあとはそれを使うだけなので通院は必要ないと思う患者様がいるかも知れませんが、実際のインビザライン治療はそれほど単純ではありません。

インビザラインでは、治療を計画通りに正確に進めるために歯の表面に“アタッチメント”と呼ばれる突起を接着する必要があります。また歯の排列スペース不足を補うために“歯の形態修正(IPR)”を行う必要があります。アタッチメントの設置やIPRについては直接処置しますので、オンラインでの対応は無理です。またマウスピース矯正では歯が完璧に治療計画通りに移動するわけではありませんので、治療計画からのズレを補正するためご来院頂き、いろいろな調整を行う必要があります。そのため、インビザライン治療でも必ず定期的に来院して頂くことになります。

 

定期的に来院して調整を行う際の通院間隔については、オンラインでの遠隔診療システムを利用して通院間隔を長くすることで来院回数を減らすことが可能です。

インビザライン治療ではマウスピースを正確に装着して頂ければ、通常は1週間毎に次のマウスピースに交換していきます。次のマウスピースに進む前に毎回マウスピースの適合状態を確認するのが理想的かもしれませんが、矯正治療期間中を通して毎週通院するのは難しく現実的ではありません。当院では経過が良好な場合には、通常6〜8週毎に医院にお越し頂き治療の進行具合やマウスピースの適合状態を診察しております。

マウスピースを1週間使用した後に、毎回歯並びの状態を確認したうえで次のマウスピースに移行すれば、マウスピースの不適合や治療計画からずれていることを早期に発見できて治療上非常に効果的です。問題を確認した段階でマウスピースの使用に関して患者様に具体的な対応方法をお伝えすれば、来院して調整する間隔を大幅に伸ばすことが可能です。当院ではオンラインにて遠隔で診療をサポートするDental Monitoring(デンタルモニタリング) (https://kubota5888.com/treatment/remote/)というシステムを利用し、毎回マウスピース使用後の状態をオンラインにて確認することで、矯正治療をより正確に計画通りに進めるよう取り組んでおります。

 

【 遠隔診療システム「デンタルモニタリング」 】

デンタルモニタリングは、患者様のスマートフォンにインストールしたアプリを用いて歯並びの状態を撮影します。その画像データを用いて、毎回マウスピースを交換する前に遠隔で患者様の口腔内状態を診断し、結果をメッセージ機能でお伝えすることができます。このシステムを利用すると、歯の移動を治療計画からずれることなく予定通りに進めることができ、計画通りに治療が進んでいれば従来の6〜8週毎の来院を34カ月おきの来院間隔にすることも可能です。

 

インビザライン診療では通院を全くなくして治療することは難しいとしても、Zoomとデンタルモニタリングを併用し治療を進めていくことで、従来のワイヤーによる治療と比較すると圧倒的に来院回数を減らして矯正治療を行うことができるようになりました。

インビザライン治療は歯科領域におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を代表する治療方法で、これからも様々な新しいデジタルツールと融合しながら発展していくことが予想されています。今後、ますますデジタル技術を用いた矯正治療が進化すると思いますので、私もその技術革新を楽しみにしつつ治療に当たりたいと思っております。

院長 久保田 衛

  • 医療法人プライムオルソ 理事長
  • 日本矯正歯科学会 認定医
  • インビザライン公認クリニカルスピーカー
  • カンボジアプティサストラ大学臨床教授

医療法人プライムオルソ くぼた矯正歯科クリニック

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