用語集

ア行

IPR (inter-proximal reduction)
歯と歯の隣接面を0.2㎜~0.5㎜程度、ヤスリをかけて削ることでスペースをつくる処置のことです。1歯ずつ削ることで歯列弓長全体で歯を並べるスペースを作り出すためや歯を配列した際にブラックトライアングルが生じてしまっている箇所などに処置することで審美的な配列となるように処置することがあります。ディスキング、ストリッピングと呼ばれたりもします。
う蝕
歯の硬組織が細菌の酸によって溶かされて、エナメル質やセメント質から象牙質へと進行し、歯の内部に穴が開く代表的な歯の疾患で、一般的には虫歯と呼ばれています。
SSRO
SSRO(Sagital Split Ramus Osteotomy)とは、下顎枝矢状分割術と呼ばれる輪郭整形で、下顎骨を矢状方向に分割して後方や前方に移動させる手術です。下顎前突症や反対咬合、受け口などの顎変形症を改善するのに適応され、顎矯正手術の中では代表的な術式です。代表的なリスク・後遺症は腫れ、出血、術後の感染などが挙げられます。ダウンタイムはおよそ1か月程度。
エナメル質形成不全
エナメル質形成不全とは、子どもの歯の表面の硬い組織であるエナメル質がうまく形成されず、薄くなってしまっている状態をいいます。近年では特に第一大臼歯において通常、虫歯が発生しないような部位に実質欠損が突然生じる。
MFT
口腔筋機能療法と呼ばれ、口腔周囲筋の機能を改善し、歯に加わる筋圧のバランスを整えることにより歯列の正常な状態を維持するためのトレーニング。代表的なトレーニングとしては、個々の筋肉の訓練、咀嚼・嚥下・発音の訓練、姿勢位の訓練などがある。
オトガイ形成術
顎先のことをオトガイと呼び、この部位を短くしたり、前に出したり、後ろにひっこめたり、幅を狭くする(顎がほっそりする)手術のことをオトガイ形成術と言います。口腔外科医や形成外科医によって執り行われます。この手術に際して、代表的なリスク・後遺症は腫れ、出血、オトガイ神経の損傷などが挙げられます。ダウンタイムはおよそ1か月程度。

カ行

顎変形症
上あご(上顎骨)や下あご(下顎骨)の形や大きさの異常、両者のバランスによる咬み合わせの異常(咬合不正)と顔の変形などの症状を示すものです。ルフォー1型骨切り術、下顎枝矢状分割術、オトガイ形成術といった術式の手術にて治療をいたします。術前、術後に歯列矯正をいたします。
過剰歯
通常の歯の本数よりも多く形成された歯のことをいい、口腔内に萌出がみられるものと、顎骨内にとどまっている歯(埋伏過剰歯)がある。過剰歯が歯列に与える影響としては、永久中切歯の正中離開、捻転、遅延萌出などがあり、不正歯列の防止をするうえで、早い時期での摘出が望ましい。
顎間ゴム
矯正治療で歯の位置や噛み合わせを調整するために使用される輪ゴム状の補助装置です。エラスティックゴムとも呼ばれます。ワイヤー矯正やマウスピース矯正のどちらの治療方法でも使用されます。基本的には食事や歯磨き以外の時につけ、目安として1日20時間以上使用します。
口腔機能発達不全症
口腔には「食べる機能」「話す機能」「呼吸する機能」「表情をあらわす機能」など様々な機能があります。食べる(咀嚼、嚥下)の機能の獲得に際して歯の萌出、歯列・咬合の問題、習癖、生活習慣が機能の獲得の発達に影響を及ぼしているケースがあり、また、話す機能に際しては口唇や舌の動きの不全、舌小帯の付着異常、顎の先天異常、歯列や咬合の不正などが影響してきます。日本歯科医学会を中心に調査・研究がなされ「口腔機能発達不全症」という名称で、保険収載されました。
口唇口蓋裂
胎児の組織欠損や癒合不全によって、口唇(くちびる)、顎堤(はぐき)、口蓋(口の中の天井部分)に割れ目が残ったまま赤ちゃんが生まれてくる先天異常です。日本では約500~600人に1人の割合で発生し、比較的頻度の高い疾患です。口唇口蓋裂の治療法としては、口唇形成術、口蓋形成術、顎裂部骨移植術などがあり、矯正歯科治療とも連携し行います。

サ行

サージェリーファースト
顎変形症治療(骨格性の上顎前突症、下顎前突症、お顔の非対称性など)において、保険適用の手術順序とは異なり、最初に顎の骨の外科手術を行い、外見や顔面の非対称性といった歪みやズレを改善してから、その後に矯正治療にて嚙み合わせを整える治療法です。外科手術を行うことにより骨の代謝が促進され、RAP(Regional Acceleratory Phenomenon)と呼ばれる現象が生体に起きます。このRAPが生じている期間は歯が早く動くため、矯正治療の期間が短縮できます。
サイナスフロアエレベーション
上顎洞の拡大あるいは歯槽骨の吸収により、上顎洞までの垂直方向への骨量が不足した上顎臼歯部におけるインプラント埋入のための骨造成術式。移植材料のボリュームを増加させるあるいはリモデリングの際の吸収を防ぐために、多くの場合、自家骨移植材料は代用骨と混合されて用いられる。
歯科矯正用アンカースクリュー
全長4㎜~8㎜程度のチタン製インプラントのことで、歯を動かす際の固定源として一時的に顎骨に埋入します。2008年より医療機器として認定されたことで歯列矯正時の併用が普及しております。使用に際しては日本矯正歯科学会が定める歯科用アンカースクリューガイドラインに則り安全に使用してまいります。
歯周病
歯を支えている歯茎や骨が細菌の感染により徐々に溶けてしまう炎症系疾患の病気です。原因は、歯垢(プラーク)に含まれる細菌です。歯垢は歯磨きが不十分な部分に付着するネバネバした黄白色の粘着物で、1mgあたり約1億個以上の細菌が含まれています。歯垢は唾液の働きで歯石となり、歯と歯肉の境目や歯根の表面にこびりつき、歯肉に炎症を起こします。
歯肉退縮
歯の周囲組織がすり減り、歯根が露出している状態を指す。歯周病や過度な力での歯磨き時のブラッシング、喫煙、歯ぎしり、食いしばりなどが原因。歯列矯正時においても起きる代表的なリスクの一つで、顎骨や歯茎に過度の矯正力がかかることにより引き起こされる。
歯根吸収
矯正治療中に歯の根っこが短くなる現象です。治療期間の長さや歯の移動距離、矯正力の強さといった治療に際するリスクと、もともとの歯根形態や遺伝的要因、外傷といった既往歴、歯槽骨の密度といった患者様側のリスク要因などが考えられる。
歯列矯正用咬合誘導装置
歯にブラケットを装着して行う矯正治療とは異なり、お口周りの筋肉のバランスを整えるためにマウスピースを装着し口呼吸を治したり、舌を正しい位置にする治療法です。国内ではプレオルソ、ムーシールドといった商品名の装置が使用されるケースが多く見られます。
侵襲性歯周炎
慢性歯周炎とは異なり、プラークの付着量は少ないが急速な歯周組織破壊(歯槽骨の吸収、アタッチメントロスなど)が起こる。家族内発現が特徴的な点で、10代~30代で発症することが多い。思春期前後に発症する限局型侵襲性歯周炎と30歳以下に多い広汎型侵襲性歯周炎に分類される。
シーラント
シーラントとは、歯の溝をプラスチック樹脂で埋めることで虫歯を予防する歯科処置です。主に奥歯や前歯の溝に行われ、特に生えて間もない6歳臼歯や乳歯の奥歯に効果的です。
GBR(guided bone regeneration)
骨欠損を回復するための、骨を対象とした組織再生法。骨欠損部への上皮や結合組織の侵入を排除し、骨系細胞の増殖や分化を促進するために、吸収性または非吸収性のバリアメンブレンを使用する方法。
スケーリング/ルートプレーニング
スケーリングは、スケーラーを用いて歯面に付着したプラーク、歯石などの沈着物を機械的に除去すること。ルートプレーニングは、歯石や細菌が侵入した象牙質をスケーラーで除去することである。歯周病の予防や治療の手段として重要であり、別々にあるいは同時に行うが、病的歯根面が滑沢化され、プラーク、歯石が再び付着することを阻止し、結合組織性付着、上皮性付着が生じやすくなる。
ソケットプリザベーション
抜歯窩に骨補填材や自家骨を填入することで、抜歯後の歯槽堤吸収の防止を図る治療法。血液で満たされた抜歯窩に骨補填材料を填入し、抜歯窩上部にコラーゲンメンブレンを置いて、縫合し密封する。

タ行

中心結節
小臼歯咬合面に見られる円錐状、あるいは棒状の突起型過剰結節で、下顎第二小臼歯に最も多く、下顎第一小臼歯がこれについで多い。
デンタルインプラント
歯を失ったあごの骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、失った歯を補う歯科治療法です。人工歯根は体になじみやすい生体材料で作られており、正式には口腔インプラントまたは歯科インプラントと呼ばれますが、一般的には単にインプラントと呼ばれています。自費診療となることから費用が高額となる傾向にあります。治療後もインプラント周囲炎といった細菌が広がってしまうリスクもあるため、丁寧なメンテナンスを行う必要があります。

ナ行

妊娠性エプーリス
プロゲステロンなどの女性ホルモンが血中に増加することに起因し炎症が起こりやすくなる。歯間乳頭部および辺縁歯肉が球状あるいは扁平状に増殖したものを妊娠性エプーリスといいます。出産後には自然消失することがほとんどであるが、妊娠中は丁寧な歯磨きによるプラークコントロールが重要となってくる。

ハ行

プロービング
プローブを使った歯周ポケットの診査で、プロービングから歯周組織の破壊程度、炎症(出血)の活動性や治療後の組織の回復状態など、口腔内所見ではわからない歯肉縁下の情報が得られる。また根面の状態や歯石の有無を知ることもできる。スケーリングやルートプレーニング時の歯肉縁下をイメージする手がかりとしても有効、歯周組織に欠かせない診査である。

ヤ行

癒合歯
臨在歯同士が、歯の形成される時期に結合し、1本になったものを 癒合歯(ゆごうし)と言います。

ラ行

ルフォーⅠ型骨切り
顔面の中心にある上顎骨を鼻の横から後方にかけて歯に平行、水平に骨切りし、歯列を含む上顎骨を分離させる術式です。上下的・前後的・側方的な移動が可能となることから、ロール、ピッチ、ヨーの改善が可能となる。また、ルフォーⅠ型骨切りのみの単独手術は頻度として少なく、下顎枝矢状分割術(SSRO)と併用されることが多い。昨今では、この上下顎骨切りを「両顎手術」と呼ばれることがある。