インビザラインコラム

第16回 インビザラインの治療費って最終的にいくら掛かるのですか?

インビザラインに限ったことではなく、矯正治療の費用が非常に分かりにくいとの話をよく耳にします。確かに医院のHPを見ただけでは矯正医の私からみても最終的に総額でどの程度費用がかかるのか分からないこともしばしばです。私の医院のホームページでもひょっとしたらそのように思われている可能性もない訳ではありませんし、自戒の意味も込めて今回のブログではインビザラインの費用について説明したいと思います。

まず大前提として、インビザラインも含めて矯正治療は自費診療なので健康保険は適応されません。ですから治療費は医院が独自に料金設定することができ、医院によって治療費は異なります。私の知る限りでは、医院によってかなりの高額な医院から低額に設定されている医院までかなりの価格差があります。

治療費に関しては料金が高いから良い診療を提供していて低額だから手抜き診療というわけでは決してないと思いますが、実際にどの程度の費用がかかるのかは、矯正の相談で医院に行った際に確認された方が良いと思います。

また、日本の医療制度では保険診療の場合には消費税は掛かりませんが、自費診療には消費税が加算されます。矯正の治療費にも消費税が適応されるためHPに記されている金額が税込みなのか税抜き表示なのかで、実際の支払額に10%もの違いがあります。消費税については最初に確認する必要があると思います。

では、一般的にインビザライン(マウスピース型矯正装置)ではどのような費用が必要になるのでしょうか。

 

Ⅰ.相談料・検査料・診断料

皆様が歯並びを整えるために矯正治療を始めようと思った場合には、いきなり治療を始めるのではなく、まずは矯正治療をどこで行うかを決めるため医院に相談に行かれると思います。相談に行った場合、相談料を設定している医院と無料の医院があります。こちらの費用は矯正の治療費に含まれていません。有料の場合には、相談料として別途費用がかかることになります。

相談を経て治療を受けることになると、最初に検査を行います。その検査結果を分析し患者様の状態に応じた治療方針を決定し、患者様は後日その方針について説明を受けることになります。この過程を、診断をいいます。検査・診断の費用は医院によって価格が異なります、こちらの料金も通常は矯正の治療費に含まれないことの方が多いと思います。ですからこの費用も矯正の治療費に含まれず別途必要になります。

 

Ⅱ.基本施術料(治療費/基本料)

治療方針が決定し、インビザラインで治療を行うことになったとします。ここからの料金がインビザラインで治療を受ける際に必要になる料金です。こちらの治療に関わる部分の料金は医院によって呼び名が異なり治療費とか基本料、基本施術料など様々な名称があります。このブログの中では基本施術料と呼ぶことにします。この基本施術料に含まれるものが医院によって大きくことなります。

インビザラインで治療を行う場合には、材料費や技術料などの診療に関わる部分で最初に必要になる費用、マウスピースの料金、毎回の診療費、マウスピースの再製作費用、矯正治療が終わったあとの保定装置代、あとは矯正治療後の保定期間中の観察料などが必要になってきます。

治療費を理解する上で何が複雑かというと、基本施術料に含まれているものと含まれていないものが医院によって異なるのが最大の要因だと思います。ホームページを閲覧してインビザラインの治療費を見ても、基本施術料に何が含まれているか記載されていない医院も見られ、実際の治療費はそのような場合には、医院で説明を受けてからでなければ分からないといことになります。

 

この複雑さを排除するために基本施術料のなかに上記の料金のすべて、または大部分を含めて設定している料金体系があり、そのような料金設定を総額方式といいます。総額方式では最初に設定された料金にほとんどの費用が含まれているため、仮になにか予定外の装置を使用することになったとしても料金が加算されることはありません。この料金体系は分かりやすく安心感がありますが、治療期間に関わらず料金が同じなので複雑な治療では割安ですが、逆に単純な治療では少し割高ということになります。

まだかなりの少数派ですが、最近ではインターネットでの音楽配信のように定額制サブスクリプション方式を取る医院も出てきており、この場合には期間が長くなると料金もそれに合わせて加算されるため合理的なように思いますが、まだ一般的ではありません。サブスクリプション方式だと毎月の支払いが高額になるので、インビザラインのような高額な料金が発生する場合には難しいように思います。総額性もサブスクリプションも料金がすべて含まれていて分かりやすいですが一長一短があるのも確かで、これらの料金体系で治療費を設定している医院は少数派だと思います。

 

Ⅲ.診察料

インビザラインの場合でも従来のワイヤーによる矯正治療と同じく、大多数の医院では基本施術料の他に毎回の診療費を請求している医院が多いように思います。毎回の診療費という形ではなくお渡しするマウスピースの個数分の料金を請求する医院もあります。この方式は最初に必要な基本施術料をお支払い頂き、その後は治療期間に応じて治療費を請求することになります。治療が複雑になり長い治療期間になると、その分だけ治療費が加算されることになり合理的ではあるのですが、治療が長くなると想定していたよりも治療費が高額になってしまう恐れがあります。本来、治療費は診療をおこなう都度に請求すべきものですので、他の装置が必要になればその料金も必要になります。良し悪しはさておきこの料金体系が本来の治療費という考えに最も即しているのではないかと思うのですが、難点は治療開始時に最終的な治療費が分からないとうことだと思います。

 

Ⅳ.マウスピースの再製作料

次に確認が必要な事項としてマウスピースの再制作費用が挙げられます。インビザラインでは、治療を開始する段階ですべてのマウスピースを製作します。しかし、治療が進むに従い治療の進行状況と最初にまとめて製作したマウスピースの形状が合わなくなることが多々あります。これは失敗ではなくインビザラインでは最初から想定内で、基本的には数回この再製作を行いながら治療を進めていくのがインビザラインの特徴です。どこの医院でもこの再製作について説明があると思うのですが、この費用がどのように設定されているかによって料金が大きく変わってきます。マウスピース代を請求している医院の場合には単純に使用したマウスピース代を請求されることになりますが、診療内容に応じて診療費を請求している医院の場合にはマウスピースの再製作費用をその都度請求している場合もあります。この再製作費用がどのように設定されているかで最終的な治療費総額で大きな差が出ることは知っておいた方が良いと思います。

 

Ⅴ.保定装置代

治療が終わった直後に製作する保定装置についても医院によって設定が異なります。矯正治療後は治療装置の種類等に関係なく必ず治療後の歯並びを安定させる保定装置が必要になります。

インビザラインでももちろん必要で、通常はインビザラインと同じようなマウスピース型の保定装置を使用するのが一般的です。保定装置は消耗品なので一定期間ごとに作り変えが必要になります。保定装置を再製作する際には、どこの医院でも費用が掛かりますが、基本施術料の中に最初の保定装置の費用が入っている場合とそうではない場合があります。保定装置はどのようなタイプを使用するかによって値段が違いますが、最低でも数千円から高い装置だと数万円程度必要になります。初回の保定装置から基本施術料の中に費用が含まれていない場合がありますので、そちらの料金もトラブルを避けるためにも治療前に確認する必要があります。

 

Ⅵ.保定観察料

最後に保定期間中の観察料です。保定期間が長ければながいほど歯並びが安定しやすいため、保定期間を長めにとり長期間に渡る来院を推奨している矯正医が多いです。そのため、こちらの料金は別料金になっている場合がほとんどです。医院によっては、矯正治療終了後数年程度は観察料が基本施術料に含まれている医院もあります。ただし、その後も継続して定期観察を患者様が希望される場合には有料になると思います。保定期間中の観察料も医院によって料金設定が異なるため、どのくらいの年数をどの程度の頻度で来院が必要になるかは聞いておくのが良いと思います。

 

矯正治療を開始する上で、費用は判断材料の大きなウエイトを占めることもあると思います。料金だけで決めるべきではありませんが、治療に対して費用が適正かどうかは重要です。HPだけの情報では基本施術料が低額だったものの、毎回の診療費やその他の費用を加えると最終的には思っていた金額よりもかなり大きくなる場合もあります。矯正治療の料金を比較する場合には、基本施術料の中に上記のどの部分が含まれているかを確認した上で検討されるのが良いと思います。また、相談料や検査料もかなり差がありますので、治療を始める際には治療後の観察料まで含めて最終的に総額でどの程度になるか確認された上で治療を開始することをお勧め致します。

 

ご参考:当院のインビザラインの治療費(治療費総額制/トータルフィー)はこちらへ

 

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院長 久保田 衛

  • 医療法人プライムオルソ 理事長
  • 日本矯正歯科学会 認定医
  • インビザライン公認クリニカルスピーカー
  • カンボジアプティサストラ大学臨床教授

医療法人プライムオルソ くぼた矯正歯科クリニック

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